公正証書遺言は、公証人によって作成される遺言書です。
遺言書の作成を希望する人(遺言者)から公証人が遺言の内容を聴取して、公正証書という形式で遺言書を作成します。
具体的には、遺言者が公証役場に出向き、証人2人以上の立会いにより、遺言
の内容を公証人の前で口述し、公証人がこれを筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ、又は閲覧させます。
遺言者と証人が、筆記の正確なことを確認して、各自がこれに署名・押印します。
その後、公証人が、適正な方式に従って作成されたことを付記して、署名・押印し、
公正証書遺言の作成は完了します。
公正証書遺言は、原本、正本、謄本の3通が作成され、原本は公証役場で保管さ
れます。遺言者には、正本と謄本が返されます。
公正証書遺言は、法律の専門家である公証人(多年にわたり、裁判官、検察官等
の法律実務に携わってきた方が公証人をしている)が、正確な知識と豊富な経験
に基づき遺言の内容を確認しつつ作成しますので、要件不備で無効になるような
ことはありません。
また、原本は公証役場で保管されるので、紛失や偽造等の心配もありません。
自筆証書遺言と異なり、遺言内容の筆記は公証人が行いますので、遺言者が読み
書きできない状況でも作成できます。
また、遺言内容の伝え方は、口頭による説明が原則ですが、耳や口が不自由な方
の場合は、筆談や通訳者(手話)等を通じて伝えることが可能です。
遺言者が公証役場に出向くことが困難な状況にある場合には、公証人が、自宅又
は病院等へ出張して遺言書を作成することもできます。